最近発売されているPCIe Gen 5対応のNVMe SSDにはコントローラーとしてPhison製のE26と呼ばれるコントローラーが搭載されていますが、これはハイエンド向けでPCIe Gen 5対応NVMe SSDの価格を押し上げる原因にもなっていました。そのため、Phisonではより価格を抑えたPCIe Gen 5対応のメモリーコントローラーをComptuex2023にて発表を行いました。
Phisonが低価格なPCIe Gen 5向けNVMe SSDコントローラー『E31T』を発表。消費電力の低減で発熱も減少へ
最近発売されている多くのPCIe Gen 5対応NVMe SSDにおいてはコントローラーにPhison製のE26と呼ばれるコントローラーが搭載されており、読み取り速度は最大14GB/s、書き込み速度は11.8 GB/sにも達する性能となっています。このコントローラーにはCPUコアが2つでDDR4またはLPDDR4のDRAMを内蔵する事でこのような高い性能を発揮できるようになっていますが、背反として高いコストと大型なヒートシンクが必要になるぐらいの発熱が見られるため、一部のハイエンドモデル向けにしかPCIe Gen 5対応NVMe SSDは発売されていません。
しかし、PhisonではPCIe Gen 5対応としてPCIe Gen 4世代のNVMe SSDより高い性能を維持しながら、より低価格、低発熱なメモリーコントローラーであるE31TをComputex2023にて発表しました。
このPhison E31TコントローラーではE26などで採用されているCPUコアであるCortex R5を1コアのみ内蔵するなど一部が共通となっていますが、製造プロセスがE26ではTSMC 12nmでしたが、E31TのCPUはコスト低減と消費電力低減を行うためにTSMC 7nmでの製造が行われています。また、エラー訂正機能についてはPhisonの第7世代LDPCエンジンが搭載されており、3D TLCや3D QLCなど多くの3D NANDなどもサポートされる見込みになっています。
このPhison E31TではDRAMレスのコントローラーにはなっていますが、より高速なNANDチャンネルインターフェースを採用する事で、性能面では最大10.8 GB/sの読み書き性能を有しています。これはPCIe Gen 4対応でDRAMを内蔵するハイエンドコントローラー、Phison E18の最大約7GB/sの読み書き速度を超える性能になっています。
容量面ではこのE31Tコントローラーでは最大8TBまでサポートする他、上述のTSMC 7nmが製造プロセスに採用されることによって発熱量はE26に比べて抑えられると見られています。そのため、E26コントローラーを採用するNVMe SSDで見られがちなファン付の超巨大ヒートシンクなどは不要になる可能性がありそうです。
なお、PhisonではNVMe SSDコントローラーをかなり早い段階で公表する事が過去の事例で明らかになっており、Computex2022で発表されたE27Tコントローラーでさえも搭載したNVMe SSDはまだ発売されていません。そのため、今回登場したPhison E31Tに関しては少なくとも2023年内に搭載モデルが発売される可能性は低く、早くても2024年初旬頃に搭載製品が発売されるものと見られています。
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