AMD Ryzen 7000内蔵RDNA 2を3.1 GHzにオーバークロック。性能が42%向上

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AMDのRyzen 7000シリーズには全モデル標準でRDNA 2 GPUを内蔵していますが、この内蔵GPUを標準の2.2 GHzから3.1 GHzにオーバークロックをし、そのベンチマーク結果が登場しました。

目次

Ryzen 7000内蔵のRDNA 2 GPUを最大3.1 GHzまでオーバークロック。性能はデフォルト時より最大42%向上。解像度次第ではゲームも可能?

AMDのRyzen 7000シリーズCPUには標準でRDNA 2 GPUを搭載しており、最大2.2 GHzで動作するCompute Unitは2基搭載することでディスクリートGPUを新たに搭載する必要性が無く、GPUでUIを描写するアプリケーション程度であれば快適に動作させることが可能です。

ただ、このRDNA 2 GPUについてはCPUと同様にオーバークロックが可能でオーバークロッカーであるSkatterbencher氏がこのRDNA 2 GPUを2.2 GHzから3.1 GHzにオーバークロックしRyzen 7000シリーズに搭載されているRDNA 2 GPUの限界性能を明らかにしました。

Radeon Graphics (Ryzen 7000) Overclocked to 3100 MHz With B650E Tachyon | SkatterBencher #55 – YouTube

内蔵GPUのオーバークロックはBIOS設定で簡単に実行。Radeon RX 7000より簡単な模様。

SkatterBencher #55: AMD Radeon Graphics (Ryzen 7000) Overclocked to 3100 MHz – SkatterBencher

Skatterbencher氏はRyzen 9 7900をGIGABYTEのB650E AORUS Tachyonマザーボードに搭載し、冷却には360mmのラジエーターを搭載した水冷システムが用いられています。

まず、デフォルト状態でのベンチマークではGeekbench5のOpenCLが8173pt、Shadow of the Tomb Raiderが12FPS、CS:GOが57.87fpsと言うスコアになっています。

デフォルト状態のGPU動作クロックは仕様通り2.2 GHzで電圧は0.997V、GPU温度は38.4℃でGPU+SOC消費電力は38.5Wが記録されています。

内蔵GPUのオーバークロックの方法は3つ試しており、1つはPBO2+EXPOを用いたオーバークロックです。PBO2で設定されているCPU全体の電力制限を取っ払う事でGPUのブーストを最大限にするという手法が用いられているようです。また、これに合わせて高速なメモリー速度をを実現するEXPOを設定。

この設定を行う事で内蔵GPU性能は0.7%~8.33%ほど伸びています。ただ、元々非力なGPUのためPBOで電力制限を解除してもあまり大きな影響は無いようです。

次に試す方法がマニュアルオーバークロックです。これは単純にBIOS設定に行き、内蔵GPUの動作クロックの設定するGFX Clock Frequencyを変更するだけです。Skatterbencher氏はここで2975 MHzと入力しています。

結果はデフォルト状態に対してほとんどのスコアは約30%以上の向上が記録されています。また、デフォルト状態やPBO状態では完了できなかったレイトレーシングテストも完了させることが可能になったとの事です。

そして、最後のオーバークロック方法はPBO2を用いたGFX Curve Optimizerを用いたオーバークロックです。このPBO2にあるCurve OptimizerはCPUのオーバークロックで用いられますが、内蔵GPU向けのオプションも存在するようで、それがGFX Curve Optimizerと呼ばれる機能のようです。これによりGPUに供給される電圧を上昇させることが可能となり、3.1 GHzでの動作が可能となるようです。

デフォルト状態に大して動作クロックが40%高くなっているため、ほとんどのベンチマークでは大幅なパフォーマンス向上が見られています。特にShadow of the Tomb Raiderにおいてはデフォルト状態の12FPSから42%増の17FPSにまで向上しています。OpenCLのスコアに至ってはVega 8を搭載するRyzen 5000Gの8500ptを30%上回ったスコアを記録しています。

Furmarkストレステストを実行すると動作クロックは平均3.1 GHz、電圧は1.395Vまで向上しています。ただ、GPUの平均温度は52.8℃でGPU+SOC消費電力は60.7Wになっています。

GPUを3.1 GHzにまで上げるとCS:GOでは80FPSを記録するなどゲームをプレイするのに十分なフレームレートを叩き出せています。また、Shadow of the Tomb RaiderやFF XVについては1080pでは15~17FPSとプレイは厳しいですが、720p程度まで解像度を落とせば30FPS近い動作が可能と見られています。

この内蔵GPUのオーバークロックが実用的かどうかはさておき、RDNA 2のCompute Unitを2基しか搭載していないにも関わらずこの性能であれば、Ryzen 7000+RDNA 2か3を内蔵するRyzen 7000Gではどのような結果を出せるのか期待が湧きます。なおSkatterbencher氏によると、Ryzen 7000の内蔵GPUをオーバークロックするのはBIOS設定から簡単に出来た点が非常に評価が高く、Radeon RX 6000やRX 7000シリーズに付属されているソフトウェアを使ったオーバークロックより簡単に行えると評価しています。

Ryzen 7000シリーズに内蔵されているGPUは非力なためオーバークロックをしてもゲームを快適にプレイできるまでの性能は出せませんが、今後登場するかもしれないZen 4+RDNA 3を搭載したRyzen 7000Gが登場すれば内蔵GPUのオーバークロックを行う事でエントリーレベルのグラフィックカード並みの性能を発揮できるかもしれませんので、これらのAPUが登場する事を期待したいですね。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
高い買い物でもある自作PCやガジェットをこれから買おうと思ってる人の役に立てるような記事を提供できるよう心がけています。
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コメント

コメント一覧 (3件)

  • RDNA2の2CUではGT1030の半分ぐらいの性能ですが、GT630や635よりは上ですからね。
    ウマ娘やWows(720p低設定)辺りの軽いゲームならGT635でも60fpsで動くので、それより上なら動くでしょうね。
    OCして40%UPだとGT1030の80~90%ぐらいの性能はあると思うので、720pなら軽いゲームなら十分行けそうです。
    せめて4CUあれば良かったんでしょうけどね。
    Hynix A-die(第2世代)のDDR5メモリがDDR5-7500~8600ぐらいまでOC出来るので、iGPUだと非同期モードでレイテンシーよりもメモリ帯域優先でOCした方が良いかもしれないですね。
    ちなみに、Micronチップは全然回らないのでHynixとはまったく次元の違うレベルでダメでした。
    メモリスロット2本のOC超特化の板でもメモリチップがダメだと全然回らないです。
    信号強度や3rdタイミング等散々いじり回してもDDR5-5600辺りからエラーが出始めます。
    エラー数個出る設定で軽くドライヤーで炙ってみたら大量にエラーが増加したので、
    温度に対して動的に信号レベルを調整することが出来ていないのかもしれないですね。
    同じ環境でHynixだと8000超えて来るので何がそんなに違うのか謎です。

  • OCで性能が上がるのはええな
    6800UとかGPUクロック1.6ghz以上だと逆に性能が下がったりする

  • iGPUをOCする場合はCPUクーラーのヒートパイプの向きに注意した方が良いです。
    基本的にSOCとCPUダイの熱を共有する縦ヒートパイプ構造の場合、
    iGPUを大幅にOCしてSOC電力が50W以上になると、CPUコアも冷えにくくなります。
    横ヒートパイプだとCPUダイとSOCダイの熱が分離されるので、iGPUをOCする場合は横ヒートパイプの方が良いです。
    画像作成しておくので参考にしてください。(自由に転載OK)
    https://i.imgur.com/EmqjW7n.png

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