TigerLake世代のモバイル向けCPUの内蔵グラフィックスから搭載され始めた『Irix Xe』グラフィックですが、そのデスクトップ版にあたる『Iris Xe』がOEM向けに販売が開始されました。
Iris Xeのデスクトップ版をOEM向けに販売開始。
Intel’s Iris Xe DG1 GPUs Are Finally Coming to Desktops, But OEM Only | Tom’s Hardware
Intelが開発したグラフィックスアーキテクチャである『Xe』はモバイル向けの内蔵GPUやローエンド向けデスクトップに『Xe-LP』、ゲーミングなど性能を要求するコンシューマー向けに『Xe-HPG』、スーパーコンピューター、サーバー向けに『Xe-HP』『Xe-HPC』などが展開されています。今回そのローエンド向けである『Xe-LP』の一モデルであるIris Xe DG1のデスクトップ版がOEM向けではありますが、販売開始されました。
コア数がモバイル向けより減少
今回登場するデスクトップ版Iris Xe DG1は、モバイル向けTiger Lakeに搭載されているものとベースは同じですが、コア数が減少する一方でTDPなどが引き上げられています。
まずGPUは、Execution Unit(EU)を80個搭載し、コア数は640になります。これは、モバイル向けTiger Lakeに搭載されているものよりEUが16個(コア数128)少なくなっています。VRAMに関しては、4GBのLPDDR4Xを搭載しモバイル向けTiger Lakeと同じ容量になっていますが、TDPは25Wから30W~40Wに、PCI Express接続もPCIe 4.0 x4からPCIe 4.0×16に拡大されています。
この『Iris Xe』はIntelの最新鋭のプロセスルールである10nm SuperFinで製造されており、モバイル向けでは解像度が1080pレベルであればCyberpunk2077などよほど重いゲームでなければ許容できるレベルの画質とフレームレートでプレイが可能な仕様になっています。デスクトップ版ではコア数は減るもののより高い動作クロックが見込まれているためモバイル向けと同等かそれ以上の性能が出る事が期待できます。
モデル名 | Iris Xe MAX モバイル向け |
Iris Xe デスクトップ版 |
GPU | DG1 | DG1 |
アーキテクチャー | 10 nm SuperFin | 10 nm SuperFin |
Execution Unit | 96 | 80 |
コア数 | 768 | 640 |
動作クロック | 1650 MHz | TBC |
VRAM | 4 GB LPDDR4X | 4 GB LPDDR4X |
バス幅 | 128 bit | 128 bit |
帯域幅 | 68 GB/s | 68 GB/s |
TDP | 25 W | 30 W~40W |
PCI Express | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x16 |
ASUSとColorfulから登場予定
デスクトップ版『Iris Xe』はASUSとColorfulから登場する見込みです。ASUS製はファンレスモデルとなっておりDVI、HDMIとDisplayPortを各1系統づつ搭載しています。Colorful製は2スロットで巨大なクーラーを2基搭載していますが、両モデル共にTDPは30W程度でPCIe電源コネクターは非搭載と見られています。
第9世代以降のIntel製デスクトップCPUが必須。特殊BIOSも必要
今回紹介したデスクトップ版『Iris Xe』ですが、GPUの動作にはIntel製CPUでかつ、第9世代(Coffee Lake-S)または第10世代(Comet Lake-S)である必要があります。また、専用のBIOSも必要になるため自作PCなどに移しても動作する事は無いとの事です。
Intelがデスクトップ向けにGPUを販売するのは22年ぶりとの事で、OEM向けの販売かつローエンドモデルではありますがある意味記念すべき日かもしれません。今回のデスクトップ版『Iris Xe』はNVIDIA GeForce RTXやAMD Radeon RXの相手にはならない製品ですが、Intelは2021年中にコンシューマー向けのハイエンドモデルである『Xe-HPG』ラインアップを用意しています。『Xe-HPG』がNVIDIAとAMDの2社寡占状態のGPU市場を動かせるだけの製品を出せるのか、今後の展開が楽しみです。
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