NVIDIAでは2023年上半期にアッパーミドルレンジ向けのGeForce RTX 4060 Tiを発売予定ですが、中国のChiphellでRTX 4060 Tiなどに搭載されるAD106 GPUで計測したベンチマーク結果一覧が出現しました。性能はRTX 3070 Tiに近い性能になっています。
NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti搭載のAD106 GPUのベンチマーク出現。性能はRTX 3070並
Alleged NVIDIA GeForce RTX AD106 GPU Benchmarks Leak Out, On Par With RTX 3070 Ti | wccftech
NVIDIAでは2022年にRTX 4090をはじめ、RTX 4080やRTX 4070 Tiなど徐々にラインアップの拡充を進めていますが、NVIDIAでは2023年上半期までにアッパーミドルレンジおよびミドルレンジ向けのGeForce RTX 4000シリーズグラフィックスカードであるGeForce RTX 4060 TiとRTX 4060の投入を計画しています。
このRTX 4060 TiとRTX 4060にはAD106 GPUと呼ばれる最大4608基のCUDAコアを搭載し、バス幅は最大128-bitのGPUを搭載しています。
このなかでRTX 4060 TiはAD106 GPUの95%にあたる4352コアが有効化され、RTX 4060では8割程度の3700コア程度のコア数になると見られていますが、今回このAD106 GPUのフルスペック版で計測されたAIDA64と3DMarkベンチマーク結果がChiphell上に掲載されています。
ベンチマークにはAD106の他に、RTX 2080やRTX 2070 Superに搭載されていたTU104、RTX 3060 TiやRTX 3070に搭載されていたGA104との比較が行われています。
結果について、AIDA64ではメモリーの読み込み書き込み関係のスコアがGA104に比べると半分以下に落ちており、これはバス幅が256-bitから半分の128-bitに落ちている事が原因と見られています。ただ、メモリーコピーについては2倍の性能を記録しているのはL2キャッシュの大幅増量などが起因していると考えられます。
GPUコア数と動作クロックが重要となる浮動小数点演算においてはAD106はGA104に比べて10%程度優れたスコアを出していますが、これは2.5 GHz程度の高い動作クロックで動作している事が主な要因と見られています。
ゲーミング向けGPUで肝心な3DMarkスコアにおいては浮動小数点演算とは異なるスコアを出しています。まず、レイトレーシング系ベンチマークであるSpeed WayにおいてはGA104に比べると6%劣る結果になる一方で、Port Royalでは2%優れたスコアを出しています。
ラスタライズ性能を計測する3DMark系ではTime SpyがGA104比で3%優れるものの、4K解像度のTime Spy Extremeでは-3.3%、Fire Strike Extremeでは-3.3%、Fire Strike Ultraでは-11%、Fire Strikeでは約1%と全体的にGA104に比べると性能は落ちており、解像度が高くなるほど性能の下落幅が大きくなる傾向があります。
そのため、RTX 4060 TiについてはベストケースでRTX 3070 Ti相当のゲーミング性能と言え、メモリーに負荷がかかる高解像度環境やDirect Storageなどを利用するケースではRTX 3070程度の性能にまで落ちる可能性がありそうです。また、RTX 4060についてはRTX 3060 Ti程度の性能とあまり大きな性能向上が見込めない事が今回のベンチマーク結果から分かります。
ただし、ワットパフォーマンスについては大きく向上しており、GA104 GPUでは最大245Wの消費電力が記録されていますが、AD106 GPUでは最大180Wと26%近く消費電力が減少しています。実際に、RTX 4060 Tiについてリーク出現したスペックでは消費電力が160Wに設定されると言われているため、ワットパフォーマンスを求めるユーザーであればRTX 4060 TiやRTX 4060は魅力的な選択肢となるかもしれません。
RTX 4000シリーズについてはRTX 4090やRTX 4080、RTX 4070 Tiでは前世代モデルのRTX 3000シリーズより性能が大幅向上しており、RTX 3000シリーズからの買い替えや更に古いモデルからの買い替えをしても損はない存在と言えていました。しかし、RTX 4060 TiやRTX 4060に搭載されているAD106 GPUの性能を見るとDLSS3やAV1エンコードなどに興味がなければ価格次第ではありますが、RTX 3070やRTX 3070 Tiを買った方が良いという選択肢も見えてくるような仕様と性能になっています。
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8k機材がもっと出てこない限りは、ハイエンドモデルの定義は「4Kを今の技術で出来うる限りリッチに描画できる」となるわけで、それに伴ってミドルレンジの定義も「WQHDやFHDは十分に描画できるけど4Kやりたければハイエンド買ってね」に留めるってことなのかな…