Ryzen 5000シリーズの中で主に薄型なゲーミングラップトップ向けに供給されるのがTDP 35W帯であるRyzen HSシリーズですが、その中でも最高モデルに当たるRyzen 9 5980HSのGeekbenchベンチマークが出現し、Renoir世代に対して約30%近い性能向上を果たしています。
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Ryzen 9 5980HSの概要
モバイル向けRyzenでは性能に応じて4つのバリエーションが用意されています。
Uシリーズ: TDP15W 主に薄型なラップトップ、タブレット向け
HSシリーズ: TDP35W 主にハイエンドな薄型ゲーミングラップトップ
Hシリーズ: TDP45W 主にハイエンドラップトップ向け
HXシリーズ: TDP45W以上 ゲーミングラップトップ向け
今回、ベンチマークで出現したモデルは、Ryzen 5000シリーズの中で主にハイエンドな薄型ゲーミングラップトップに向けて供給されるRyzen 9 5980HSと呼ばれるモデルが出現しました。
コア数は8コア16スレッドを搭載し、ベースクロックは3.0GHz、ブーストクロックは最大で4.80GHzになります。L3キャッシュは16MBで他のモバイル向けRyzen 5000 CPUと共通となっています。
APUモデル名 | コア(C)/スレッド(T) | ベースクロック | ブーストクロック | L3 Cache | グラフィックス | TDP |
Ryzen 9 5980HX | 8C/16T | 3.30 GHz | 4.80 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 45W+ |
Ryzen 9 5980HS | 8C/16T | 3.00 GHz | 4.80 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 35W |
Ryzen 9 5900HX | 8C/16T | 3.30 GHz | 4.60 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 45W+ |
Ryzen 9 5900HS | 8C/16T | 3.00 GHz | 4.60 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 35W |
Ryzen 9 5900HS | 8C/16T | 3.00 GHz | 4.60 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 35W |
Ryzen 9 5900H |
8C/16T | TBC | TBC | 16MB | 8 CUs (512 SP) | 45W |
Ryzen 7 5800H | 8C/16T | 3.20 GHz | 4.40 GHz | 16 MB | 8 CUs (512 SP) | 35W |
シングルコアはRyzen 9 5900HXに迫る。
GeekbenchのベンチマークはASUS ROG Flow X13と呼ばれるゲーミングラップトップに搭載されたRyzen 9 5980HSで計測がされています。
このASUS ROG Flow X13の特徴は本体にはRyzen 9 5980HSに搭載されたGPUしか入っておらず、ゲーム時にはRTX 3080が搭載された外付けケースを接続するというユニークなデザインになっています。ちなみに、Ryzen 9 5980HSが搭載されるのはSupernova Editionと呼ばれるモデルで30万円を超える価格が設定される見込みです。
Ryzen 9 5980HSのベンチマークはシングルコア1532pt、マルチコアが8219ptとなっています。このベンチマークで注意する点が、ブースト周波数についてRyzen 9 5980HSは仕様上、4.8GHzまでとなっていますが、ROG Flow X13の冷却性能上4.5GHzが限度となっているようです。
ただし、それらを踏まえた上でも同じTDP35W帯にあるRyzen 9 5900HSでは、シングルコア1381pt、マルチコア5897ptとなっており、Ryzen 9 5980HSではシングルでは約10%、マルチコアでは30%近く上回る性能を発揮しています。比較対象をモバイル向けからデスクトップ向けに移しても、Ryzen 9 5980HSの性能はRyzen 7 3800XやIntel Core i7-10700Kに対してシングルコアでは10%以上上回り、マルチコアでは10%程度下回る差に落ち着いています。
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このRyzen 9 5980HSなどを搭載したラップトップPCなどは2021年上半期中に発売開始する見込みとなっていますが、TSMCのキャパシティーオーバーの話も出ているため発売開始がされても実際に入手するまでにはかなり待つ事になりそうです。
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