NVIDIAが2021年2月に発売したGeForce RTX 3060はミドルレンジモデルとして2022年10月現在も現役となっていますが、今回このGeForce RTX 3060に関して他のグラフィックスカードとの性能比較や海外レビューを中心にどのような評価がされているのか解説していきます。
NVIDIA GeForce RTX 3060の概要
日本では2021年2月26日から発売が開始されたNVIDIA GeForce RTX 3060はGeForce RTX 3000シリーズの中でミドルレンジモデルにあたるGPUとなっています。このRTX 3060は主に1080p環境におけるゲーミングを想定した仕様になっており、GPUにはGA106を搭載し、CUDAコアを3584基、RTコアを28基搭載する事でラスタライズ性能では前世代のアッパーミドルレンジモデルのGeForce RTX 2070並みの性能を確保しています。
発売当時はマイニングブームやGPUの供給不足などもあり初回在庫以降は6~7万円台で販売されていました。しかし2022年10月以降ではマイニングが下火になり、GPUは供給不足から一転、供給過多状態になった事から5万円前後での販売がされています。
GPUモデル | GeForce RTX 3050 | GeForce RTX 3060 | GeForce RTX 3060 Ti |
---|---|---|---|
搭載GPU | GA106-150 | GA106-300 | GA104 |
SMs | 20 | 28 | 38 |
CUDAコア | 2560 | 3584 | 4864 |
RTコア | 20 | 28 | 38 |
Tensorコア | 80 | 112 | 152 |
テキスチャユニット | 80 | 112 | 152 |
ROPユニット | 32 | 48 | 80 |
動作クロック/ブーストクロック | 1552 MHz / 1777 MHz | 1320 MHz / 1777 MHz | 1410 MHz / 1665 MHz |
VRAM仕様・容量 | GDDR6 8GB | GDDR6 12GB | GDDR6 8GB |
VRAMバス幅 | 128-bit | 192-bit | 256-bit |
VRAM帯域幅 | 224.0 GB/s | 360.0 GB/s | 448 GB/s |
TDP | 130W | 170W | 200W |
ゲーミング性能比較:1080pなら不自由なしだが120fps以上は厳しい結果
TechPowerUPでは23のタイトルで画質設定を『高』状態で1080p、1440p、2160p(4K)解像度での平均フレームレートが計測されています。
EVGA GeForce RTX 3060 XC Review – Average FPS | TechPowerUp
NVIDIA GeForce RTX 3060のゲーミング性能としては、1080pに焦点を当てたモデルでもある事から、1080pの高画質設定であれば2022年現在リリースされているタイトルのほぼすべてが平均60fps以上のフレームレートでプレイできる事が分かります。
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Apex LegendsやValorant、Counter Strikeのように負荷が軽いゲームであれば高い画質設定でも120fps以上を維持する事が可能となっています。
ただ、2022年10月28日に発売されるCall of Duty MW2やWarzone 2のような最新タイトルの場合、画質設定を上げた状態では1080pで平均fpsは80fpsでPlayStation5を少し超えるぐらいのフレームレートとなっていますが、1440pでは平均60fpsという事でマルチプレイなどで激戦となった場合はフレームレートが落ちるなど戦いが不利に運んでしまう可能性があります。
GPGPU性能:CUDAコアが多いためRTX 2080 Ti並みの性能
オランダのテック系サイトであるGuru3DではGeForce RTX 3060を用いたGPGPU性能が計測されています。
EVGA GeForce RTX 3060 XC Gaming review – GPGPU: Compute render performance (guru3d.com)
GPUを用いた3DCGのレンダリングなどクリエイティブ用途においてもRTX 3060は比較的高い性能を持っています。特に前世代の最上位GPUであるGeForce RTX 2080 Ti並みの性能を記録する場面も存在しており、ゲームの傍ら趣味で3DCGレンダリングを行うというユーザーなどには最適なモデルと言えそうです。
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消費電力とワットパフォーマンス
TechPowerUPではPCIeスロットとPCIe電源から消費電力が計算されており、GeForce RTX 3060本体だけの消費電力が掲載されています。
EVGA GeForce RTX 3060 XC Review – Power Consumption | TechPowerUp
GeForce RTX 3060の消費電力としてはアイドル時は13Wほどで他のGPUと比べると若干高めとなっています。ただ、アイドル時の消費電力は誤差が大きいためあまり細かな数字を気にする必要は無いと考えられます。
動画再生ではH.264でエンコードされた4K 30FPS動画を再生し、その消費電力を計測するテストとなりますが、RTX 3060では約17Wの消費電力を記録しています。この動画再生時の消費電力に関してはGPUに若干負荷がかかるためか、CUDAコアの多い順に消費電力が増えていく傾向にあり、GTX 1060等は低く、RTX 3090は32Wと非常に高い値となっています。
ゲーミング時の消費電力は計測に使ったモデルがEVGA製のOCモデルという事でRTX 3060の仕様である170Wを超え、181Wが記録されています。この消費電力に関しては、性能が似ているRTX 2060 Superと同等レベルとなっているため、ワットパフォーマンス面では前世代との差はあまり無いと言えそうです。
RTX 3060に関しては400Wを超えるようなグラフィックスカードが存在する2022年10月現在では割と低い分類には入りますが、GTX 1060が114W、GTX 1080でさえも151Wである事を考えると、GTX 1000シリーズから買い替えるユーザーは電源ユニットの容量が足りるのか事前に確認した方が良さそうです。
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なお、RTX 3060の推奨電源は500Wですが、余裕を見て650Wぐらいの電源を買う事をお勧めします。
GeForce RTX 3060の販売価格
NVIDIA GeForce RTX 3060に関しては2023年2月時点では販売価格は最低4.8万円からとなっており、平均は5万円となっています。
RTX 3060に関しては、2021年頃に発生していたGPUの供給不足やマイニングブームの影響で一時は7万円~8万円前後で販売がされていました。しかし、2022年3月頃からは販売価格が右肩下がりとなっており、8月頃に5万円台に到達、そこからは徐々に値崩れし、4.8万円台で横ばい状態が続いています。
『グラボの定価』NVIDIA GeForce RTX 3000シリーズの定価一覧
GeForce RTX 3060 (12GB)(2021年2月26日)
発売時の定価(最安値):52,800円 (ZOTAC Gaming GeForce RTX 3060 Twin Edge)
発売時の定価(最高値):66,182円 (ASUS ROG STRIX GeForce RTX 3060 O12G GAMING)
現在最安値:47,980円 (ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC)
発売時点 | 2023年2月時点 | 変動幅 | |
---|---|---|---|
為替レート(USD/JPY) | 105 | 135 | 129% |
定価最安値からの変動 | 52800 | 47980 | 91% |
なお、現時点で最安値で販売されているモデルは玄人志向製モデルとなっており、次点でZOTAC製RTX 3060となっています。
(掲載価格は23年4月17日時点)
GPUメーカーは多数ありますがこの違いについてはデザインや機能も多少異なりますが最も大きな違いは保証内容です。こちらの記事で各社の特徴や保証内容について詳しく説明しています。
グラボメーカーの違いは保証内容? ASUS、ZOTAC、玄人志向など各社の特色を紹介
GeForce RTX 3060のコストパフォーマンスはRTX 3000シリーズの中では高め
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コストパフォーマンスは1fps辺りのコストで算出することができ、GeForce RTX 3060は1fps辺り413円となっています。
エントリーモデルのGeForce GTX 1650の1fps辺り342円が記録されており、これと比べると非常に高くはなっていますが、レイトレーシングに対応するGeForce RTX 3000シリーズの中ではRTX 3060は下位のRTX 3050や上位のRTX 3060 Tiが1fps辺り約420円である中では2%安くなっており、コストパフォーマンスは僅かながら優れています。
最終評価:性能と価格のバランスは高く、ミドルレンジ向けには最適なグラボ
Steamのハードウェア調査において、グラフィックスカードのシェアナンバーワンは2016年に発売がされたNVIDIA GeForce GTX 1060がトップで、2022年8月調査時点では6.6%となっています。また、2位はGeForce GTX 1650で6.24%、3位にはGeForce RTX 2060がランクインし、シェアは5.02%となっています。
今回、紹介したGeForce RTX 3060に関しては、GTX 1060やGTX 1650、RTX 2060に対して体感できるほどの性能アップが期待できます。また、価格についても4万円前後での販売が主流となってきており、上記GPUからの買い替えであれば、買って後悔は無いと考えられます。
ちなみに、GPUを買う時に気になる次世代モデルの存在ですが、RTX 3060の後継モデルであるRTX 4060については2023年6月29日に登場予定ですが、価格は5.2万円からとかなり高い価格に設定されると見られています。