Ethereum 2.0への移行が延期。GPU価格へ若干悪影響が出る可能性

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GPU価格については2022年に入り始めてから下落傾向にありますが、その要因の一つであったEthereumのバージョンアップが延期される事が判明し今後、GPU価格に悪影響を与える可能性があるようです。

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GPU価格と相関するEthereumの動向

GPU Price Drops Might Stall Yet Again As Potential Crypto Mining Recovery Looms (wccftech.com)

GPU価格については2021年は定価に対して平均2倍程度、ピーク時の5月頃は定価に対して3倍近い価格で販売されるなど価格が高騰した状態での販売が状態化していました。

この要因としては、新型コロナウイルスの流行に伴うロックダウンでGPUの製造に関連するサプライチェーンが乱された事で需要が大幅に減る一方で、ステイホームと言うことで新たにゲーミングPCを購入する人が増えた事が挙げられていましたが、それよりも悪目立ちしていたのがEthereumマイニングによる需要です。

EthereumはGPUなどでマイニングが可能な仮想通貨で2021年5月頃は1ETH辺り45万円の価値で取引が行われ、GeForce RTX 3080でのマイニングであれば電気代を除くと1ヶ月で約5万円程度収益を上げられるなど高い収益性が得られるものになっていました。そのため、大きな収益を得ようと大量のGPUを買いつけて大規模なマイニングファームを作る動きが中国など電気代が安い地域を中心に大量に構築されて行きました。

大量のGeForce RTX 3070 FEを一部量販店がマイナーに横流ししていた模様 

これによってGPUの需要は大きく増え、定価以上に高くても売れるという状態が作られましたが、その後からはEthereum価格が下がった事やマイニングによる収益性が下がるEIP-1559の導入などで収益性は低下、また2022年6月頃の目途にEthereumのマイニングが行えなくなるPoSへ移行する事が予測されるなどして2022年に入り始めるとマイニングのために新たにGPUを買うという需要が大きく減り、2022年4月頃はGPUは定価に対して1.25倍程度で販売される状態になっていました。

しかし、GPU需要を減らす1つの要因でもあったEthereumのPoS移行が技術的な問題により延期される事が濃厚になってしまったようです。

EthereumのPoWからPoS移行は2022年下半期に延期

仮想通貨を得る方法としては取引所で購入する以外にマイニング(Proof of Work=PoW)やステーキング(Proof of Stake=PoS)と言う2つの方法で得る事も出来ます。まずマイニングは最も有名でEthereumやBitcoinなどの取引を行うための処理をGPUやCPU、ASICの計算能力を使って処理し、その対価として仮想通貨を支払うという物です。そしてもう一つがステーキングと呼ばれるもので仮想通貨を一定量持つことで仮想通貨ネットワークのセキュリティーに貢献する事が出来、その対価として仮想通貨を支払と言うものです。

Ethereumでは今のところはマイニングであるPoWであるため、GPUなどを使って対価としてEthereumを受け取る事が出来ます。このEthereumですが、PoWからPoSへ移行する事が将来ロードマップでは明確になっており、当初は2019年中にGPUでのマイニングが不可能になるPoSであるEthereum 2.0への移行が予定されていました。しかし、作業が複雑である事から2020年、2021年と毎年のように延期が行われていましたが2022年6月頃までにはPoSへの移行が行われると見られていました。

しかし、Ethereumのコア開発者のTim Beiko氏によるとEthereum 2.0(PoS)への移行が想定以上に難しく、更に延期が行われるとの事です。Tim氏によると6月には移行は行われず、少なくとも数か月後になるとの事です。

GPUの値下がりに歯止めがかかる可能性。一方でエネルギー価格が救世主に?

今回、Tim氏は具体的にいつ頃になるかは明言を避けたものの数か月以内との事ですが、度々延期が行われている事から年内いっぱいまでPoSへの移行がされないのでは無いかと言う可能性もあります。そのため、GPUを使ってマイニングで収益を上げる事は少なくとも数か月間は猶予がある事になります。

そのため、既にマイニングを行っているユーザーがPoSへの移行前にGPUを中古市場に売り払うなど新品GPUの需要を減らすような動きが一時的に収まる可能性があります。こうなると量販店などは新品GPUの需要がまだあるとして更なる値下げに踏み切らないという状況になると見られています。また、懸念点としてEthereum価格の最近では30~40万円前後を推移しており、新品GPUの販売価格や中古価格が下がらないとなると新たにGPUを買い増し、数か月だけ稼働させて中古として売るなどマイニングで仮想通貨を得られる最後のチャンスと考えてマイニングが活発化する可能性があるようです。

ただ、2021年5月の時のように新品GPUが飛ぶように売れるという状況になる事が考えにくく、NVIDIAのGeForce RTX 4000シリーズやAMD Radeon RX 7000シリーズなど新製品がまじかに控えている事から中古で売るにも定価並みで売れる可能性は低く、マイニングを行うにしても世界的にエネルギー価格が高騰しておりマイニングを行っても電気代まで考えると収益性が無い限りなくゼロに近い値になってしまいます。そのため初心者から上級者までこぞってマイニングを行っていた2021年の時のような状況にはならず、例え新品GPUの需要が増えたり、中古GPUの供給が減ったとしても販売価格については値上げと言う事にはならず、値下げ幅が2022年1月から4月に比べて穏やかになる程度と見られています。

EthereumのPoS移行は2019年から言われていた事ですので、今回の延期も正直驚かないですね・・・EthereumについてはBitcoinに次ぐ知名度を持つ仮想通貨であり、大手銀行や取引所でも取引が行われるなどある程度の地位を得ているため、下手に移行して不具合を生じさせてしまえばEthereum価格の大幅下落を招くなど大きな混乱を生むため慎重になるのは仕方ない事かもしれません。

Ethereumマイニングについては1MH/s辺り0.046ドル、日本円で約5.5円となっておりGeForce RTX 3080など100MH/sを出せるGPUであれば電気代を除くと月に17000円の利益が出せる状態になっています。ただ、RTX 3080の価格は15万円程度するため投資回収まで約9か月が必要で電気代などを含めると更に伸びてしまいます。そのため、今更大規模なEthereumマイニングファームを構築するという人はなかなか現れないと考えられます。ただ、少し懸念があるのが大規模なEthereumマイニングファームを構築していた人は様々なGPU購入ルートを持っており代理店や量販店を通さず直接GPUを買い付けるなどして安値でGPUを購入できる場合があるようです。そのため、残り数か月で見込めるEthereumの収益とその後に中古GPUとして売れるであろう価格を鑑みて少しでも収益が出せると判断されれば大規模な買い付けなどが起きる可能性はあるので近々GPUを買う事を考えている人はこのEthereum 2.0の動向について少し気にしてみた方が良いかもしれません。

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この記事を書いた人

『ギャズログ | GAZLOG』の編集兼運営者
幼い頃から自作PCなどに触れる機会があり、現在は趣味の1つに。
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